孤独女と王子様
驚いた。

舟さんがこんなに律子さんに一途だったことも知らなかったけど、啓慈が由依ちゃんと両親が一緒の弟だったなんて。

替え玉は律子さん。
その事実に、僕は驚いた。

頭がクラクラしてきた。

『剛さん、ゆっくり呼吸しよう』

由依ちゃんは僕の背中に手を置いて"息を吐いて、吸って"と言っている。

『ダメだよ。いくら驚いたって、呼吸くらいはしなきゃ』

由依ちゃんはいたって落ち着いていた。
この事実に驚かないのだろうか。

『由依が高校1年に上がった頃に、突然舟さんが店に現れたの』

それまで黙っていた律子さんが、静かに話し始めた。

『店の開店資金などは、鍬形家からの手切れ金から出しているけれども、それでももう舟さんとは会わないし、会えないと思っていたから、驚いた』
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