孤独女と王子様
『由依さんはどうなんだい?』
『私も、剛さんと同じ気持ちです』
『そうか。それなら私の出る幕はないと思うぞ』

お父様は私に微笑んだのち、立ち上がって奥にある窓の前に立った。

『君達がアツアツ過ぎて、向かいにいると火傷してしまうよ』
『父さん、離れないでもらえる?』
『いや、火傷は冗談として、ちょっと離れた距離で君達を見たくてね』

お父様はそう言って私達を優しく見つめた。

『な、何だよ』

剛さんはそんなお父様の行動に少し戸惑いがあるみたいだ。

『剛は、恋愛に興味がないと思っていたよ。こっちが例えばお見合いとか、そこまで行かなくても紹介とか、お膳立てをしてあげないと女性と付き合ったり、結婚したりしないのではないかと心配したんだ。でも私は剛を見くびっていたな。ちゃんと、見つけてきた。斉木から少し聞いてはいたが、カリスマ書店員を連れてきたあたりは、剛も捨てたもんじゃないな』
「そんな、私は大したことありません」

お父様は私のことをどんな風に噂で聞いているのだろう。
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