孤独女と王子様
離婚したのは僕が高校2年生の時。
その1年前から既に別居していたから、離婚が決まった時には別に驚きもなければ悲しくもない。

それでも、忙しい中時間を見つけては僕と一緒に旅行にも連れて行ってくれた。

変装をして、運動会や授業参観にも来てくれた。

そして僕には執事や秘書、お手伝いの方など、僕の周りには常に人がいた。

幸せなことに、友達だってたくさんいた。
だから、孤独を感じたことは一度もない。

僕が生まれる2年前に結婚をして、僕が17歳までは結婚生活を送れたわけだから、実質18年は成瀬川家の人間だった母。

歴代の妻たちの中では一番長いらしい。
でも、女優をやめていたわけではなかったので、成瀬川邸にずっといるということはなかった。

地方ロケ。地方での舞台。
時には海外での仕事もある。

それでも、時間が空いた時には、自分で料理を作って、僕以外の長兄の亮兄さんや実穂姉さんやケン兄さん、成瀬川邸で働く人たちに振る舞っていた。
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