絆テレパシー
俺の超能力は、簡単に説明すると
「対象とした人間の脳内の思考を知ることができる」
というものだ。この超能力は物心ついた頃には当然のように使っていた。(それが超能力と知るのはその数年後である)
目覚めた原因は不明。
しかし、この超能力は俺の日常を充実させるのには十分だった。

テストでわからない問題があれば頭のいい子の頭にアクセスして答えを教えてもらう。教室の隅で話す内緒話も筒抜け。まるで王様にでもなった気分だった俺はいつしか浮かれていた。
…あの出来事が起こるまでは――

学校に近づくにつれ同じ学年であろう生徒たちがチラホラ見えてきた。顔を上げると校門まで1分足らずで着くだろう。俺は憂鬱な気持ちを払うことのできないまま校門をくぐり入学式の会場へと向かった。
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