絆テレパシー
――次の日
自己紹介の順番は刻々と迫ってきた。クラスメイト達は普通に自己紹介をするものが多数だが、中にはウケ狙いでネタを挟む人もいた。
第一印象を大事にすることは無論俺も例外ではない。ただ、完璧な印象付けをしたいというわけでもない。普通、そう普通でいいのだ。普通で…。
途端、思い出すだけでも忌々しい過去がフラッシュバックする――

「えっと…あの!…俺、じゃなくて僕の名前はい、五十嵐祐です!えっとそ…その…お、終わりです…」
俺は極度のコミュ障だ。これも全部超能力のせいだ。人間の表情や態度と頭のなかで思っている真の気持ちが一致しないことを知ってしまった俺は人間不信になるまでに追い詰められた。

テレビで見た反省の言葉を述べる大人。―反省なんてちっともしてない。

笑顔で話す女子のグループ。―実は一人をハブっている

こんな現実を幼い俺には受け止められなかった。そうして自然と孤立を望み仲のいい友達なんてできることはなかった。

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