シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~

秘密基地

 苦もなく、30分程度で、私たちはその小さな島へとたどり着けた。
 島全体が岩でごつごつしているような感じだ。
「この島、当然、無人島なんだぜ」
 翔吾君が説明してくれた。
「それでな。雫をここに連れてきたかった理由は、この先にある」
 そう言って、翔吾君はゆっくり歩き始める。
 私は黙って、ついていった。

「ここだ!」
 そう言って、翔吾君が手で指し示した先には―――。
 洞窟がぽっかり穴を開けていた。
「あ!」
 私は思わず声をあげた。
 この洞窟………。
 私も、知ってる!
 ショウ君の秘密基地!
「昨日、絶対に連れてくるって言ってただろ。俺の『とっておきの秘密の場所』、ここのこと。まぁ、今はまだ、ここの良さに気づいてないだろうから、『何、この洞窟。何も無さそうじゃん』みたいに思ってるかもしれないけど、すぐに分かるはずだ。ついてこいよ」
 そう言って、翔吾君は洞窟内へと入っていった。
 私も後ろをついていく。
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