シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
 浜辺へと到着した私は、ショウ君の姿をすぐに発見できた。
 いつも元気なショウ君らしくなく、うなだれている。
 それが私にとっても切なかった。
 私はダッシュで、ショウ君に駆け寄る。
 砂浜の上を走っているので、足音が聞こえないらしく、ショウ君はなかなか気づかない。
 かなり接近してからようやく気づいたショウ君は、ちょっと驚いたような表情をした。
 私はそのまま、ショウ君の胸に飛び込んだ。
「ショウ君……。ごめんね」
「いや、今回は確実に俺が悪い。本当にすまん。だから、俺は約束するよ。今日の夜9時までに、全てにケリをつけ、雫に全て話すから。夜、何時でもいいから、俺の部屋に来てくれ」
「えっと、その……。さっきは、しつこく聞いた上に、勝手に逃げ出してごめんね」
「いいって。俺が悪いんだから。だけど、しっかり期限を決めたから、今回だけ大目に見てくれ。あと……これから、時間あるか? また、あの洞窟へ行きたい」
 また、あそこへ?
「うん、もちろん時間はあるよ」
「じゃあ、急ごう。計画では、まだこれから、展望台とか山とかに行くんだったろ」
 そういえば、そうだった。
「俺のせいで、時間をロスしたな。ごめんな」
 何度も謝るショウ君を見ていると、切なくなる。
 いつもなら、立場は逆のはずだし。
「気にしないで。いつものショウ君に早く戻ってね」
 すると、ショウ君は少しはにかんだような笑顔を見せる。
「え? 俺、いつもと違うのかよ?」
「違うよ。いつも、もっとグイグイ、リードしてくれるでしょ。幼稚園時代から、そう」
「まぁ、それはそうかもな。だけど、ここはふざけていい場面じゃないから。とりあえず、洞窟へ向かうぞ。車はそっちに止めてあるから」
 ちょっとだけだけど、ショウ君がいつもの調子を取り戻しつつあるようで、密かに嬉しくなる私。
 私たちは車に乗り込むと、まもなく出発した。
< 96 / 113 >

この作品をシェア

pagetop