もう一度君の笑顔を
「お前、何があった?」


突然そう問われ、何の事か理解できないでいると、



「最近、営業部からのいちゃもんがスゴい。」



「は?何ですかそれ?」



「会議の時の、営業からの文句が多いんだ。

 まだ、業務に支障をきたすほどじゃないが、それでも円滑に言っているとは言いがたい。
 
 その原因に、お前が心当たりがあるんじゃないかと思っているんだが、どうだ?」



物をどう売るかを決めるマーケティングと、実際売る営業の関わりは深い。



それが円滑に進まないとなると、確かに問題だ。



「それは、俺が営業部の彼女と別れたのが原因だと言いたいんですか?」



ストレートに聞き返した俺に、課長は、



「正確には、お前と高城が分かれた後に立っている噂をお前が黙認してることがだ。」



そう言われて黙ってしまった。



「結構えげつないこと言われてるじゃないか。

 何故、何もフォローしてやらない?

 振った女は、もうどうでもいいか?」



そう言われて、俺は課長から目をそらし、小さな声で、



「振られたのは俺の方です・・・」



「え?じゃあ、振られた腹いせに・・」



「そんなわけないじゃないですか!!」




声を荒げて課長の言葉を遮った。




「じゃあ、何でだ?」




俺の無礼を気にする様子もなく淡々と聞き返して来る課長に俺はまた口をつぐむ。
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