もう一度君の笑顔を
それを聞いて、友紀は目を丸くした。


そして、クスクスと笑いながら、


「そうでしょ?私、愛されてるの。」



と言った。


その言葉に胸がギュっと締め付けられる。


俺だって・・・・


友紀を愛してるよ。



そんな言葉をグッと飲み込んで、友紀に合わせて無理にでも笑った。


「今から、外回り?」


「あ、ヤバい!約束の時間に遅れる!!」


時計を見て焦る友紀。


「じゃあ、急がないと」


「うん!じゃあね!」


「あぁ、気をつけて行けよ!!」



走り去る友紀が見えなくなるまで見送った。




友紀がキレたのが良かったのか、それともずっと放置していた俺が口出ししたのが良かったのか、俺らに関係する噂は聞かなくなっていった。


未だに営業のおっさん達に睨まれることはあるが、仕事に支障をきたす事はない。



「中野さん!」



声をかけられて振り返れば、林梨花が立っていた。


「あぁ・・・」



立ち止まると林梨花が近づいて来た。


「うまくやったみたいですね。」



にっこりと笑いかける林梨花を、通り過ぎる男達が顔を赤くしながら見つめている。


俺には悪魔の微笑みにしか見えないけど・・・・



「俺じゃないよ。」


「え?」


「高城さんが自分で解決したんだよ。」



それを聞いた林梨花はクスリと笑い言った。


「まぁ、友紀を本気で怒らせると怖いですからね」


「そうみたいだな。」



「林!!!」


この間より平和な空気が大声で壊される。


何事かと声の方を向けば、見覚えのある営業部のやつが息を切らしながら走って来た。



「平井くん、どうしたの?」


「大変だ!高城が・・・高城が出先で車に跳ねられたって!」


頭が真っ白になった。
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