ミントグリーン~糖度0の初恋~
口を尖らせる私にシンタさんは
「いーよ別に。
だってバイブで着信に気づいてたけどわざと無視してたんだもん。
楽しい時間を邪魔されたくなくてさ。
だから、家に帰っても俺がうまく言うから千波ちゃんは謝らなくていいからね。
それに心配してくれる人がいるってすごく贅沢なことなんだからね?
だから、そんな顔しないのー。
美人台無し」
私の顔を両手で挟んでウニウニとしながら、この日一番の優しい笑顔を浮かべていた。
「うん…。分かった」
別に遅い時間になっているわけじゃない。
兄がブーブー言うだけで怒られるようなことはないだろう。
だったら、シンタさんに任せた方が良さそうだ。
兄妹ゲンカが1つ回避される。
「よろしい。
何か、こちらこそごめんね?
おしゃべりに付き合わせちゃって。
でも、すごく楽しかったよ」
私に向けられた極上の微笑みにずっと跳躍運動を続けていた心臓が一際大きく跳ねた。