ミントグリーン~糖度0の初恋~
「頑張った頑張った。
うん、よく頑張ったよ。ありがとう」
ひとしきり笑った後、シンタくんが私の肩を叩く。
「もう遅いよ」
タコ口になった私とまだ肩を震わせているシンタくんの間に置かれたチョコレート。
長方形の箱に並んだ8個のチョコレートは見事なまでに不揃いで不恰好だった。
ただ丸めるという作業も不器用な私にはハードルが高かったんだ。
「味だけは大丈夫だもん。ちゃんと味見したから」
「マジで?」
開き直った私をシンタくんはまた笑って、箱の中から一番大きなチョコレートを摘まんで口に入れた。
「……ホントだ。 めちゃくちゃウマイ」
その言葉に思い切り安堵した私に向けられた笑顔は蕩けそうに甘くて顔がまた熱くなる。
「千波も食べれば?」
シンタくんがチョコの入った箱を私に差し出してくれた。
「ううん。私はいいや。
なんかお腹いっぱい……幸せすぎて」
素直に打ち明けて俯いた私にシンタくんが呆れたように息をつく。
「ばーか。 それはお腹いっぱい、じゃなくて、胸がいっぱいの間違いだろ?
ほら、あーん」
綺麗な指が8個の中では一番まともな丸いチョコを摘まんで私の口に運ぶ。
はむっと食べたその味は、味見の時のそれよりもずっと甘く感じた。