ミントグリーン~糖度0の初恋~
「お義姉さん、雑巾がけは私がやるから。
あっちで走太さんが呼んでるよ」
キッチンに入って踊子さんに声をかける。
「じゃ、千波ちゃん悪いけどお願い。
走太、何ー?
ちょっと、それはそこじゃなくて寝室だってば!!」
「はぁっ?!
勘弁してよ。これ重いんだけど」
賑やかに響く踊子さんたちの声。
私は踊子さんから渡された雑巾を片手にシンタくんの方を向く。
私たちは顔を合わせるとクスリと笑いあった。
「幸せそうだな。ウメちゃん」
「お兄ちゃんもだよ。なんかデレデレしてる」
「それはあんまり見たくないな」
苦笑いしながら、シンタくんは食器の入った段ボールの梱包を解いていく。
「……どこ拭けばいいのかな?」
「それ、新しい雑巾だから固く絞って食器棚の中拭いていって」
「分かった」
私は食器棚に向き直って丁寧に棚の中を拭き始めた。