同じ願いで

スタジオらしきところに来て、中に入るとやっぱり緊張する。



慣れないところに行くのはとても緊張するし、人見知りしてしまう。



「あのね、今日仕上げないといけないページがあるんだけど、モデルがちょっとした事情でこれなくて…」




隣の祐をチラッとみると、戸惑いながら返事をしていた。



撮影の内容は、仲よさそうにしてるだけらしい。



もともとカップルという設定だったらしいし、この代役は私たちが適しているというのだ。




まあ、やれるぶんだけやってみよう。



頑張ってみないと何も始まらないしねっ



そう思ってカメラの前に立つけど、やっぱり緊張してしまう。



「祐~、緊張するよ…」


「大丈夫。俺だけみて⁇」


そう言われ、顔が一気に熱くなった。



「2人とも、いいね~。本当に初めてなの⁇」



カメラマンに褒められてるみたいだけど、私はただ恥ずかしいだけ。



「じゃあ次は、萌音ちゃんが背伸びして 祐くんにキスしてくれるかな⁇」



私が祐にキス⁉︎



こんな大人数の前でキスとか、恥ずかしすぎるよ…



しかも、いつもは祐からだし、私からキスしたことなんかないから緊張してしまう。


「あ、ほっぺで大丈夫だからね。」



そう言われて、言われた通り、ほっぺにキスをした。



「はいおっけ~、2人ともお疲れ様~。」



そう言われ、私はすぐ顔に手を当てて、顔を冷ました。


だって、ほんとに熱いんだもん。


そんな私を見て、微笑む祐。


反則だよ、その顔…。


そう思いながら祐を見つめていた。



-パシャ



イキナリのシャッター音と、フラッシュの光。



「えっ⁉︎」


思わず声が出てしまった。


「この会社の方針。終わってリラックスしているときでも写真を撮ってより自然な表情を撮るんだよ。」




つまり…



不意打ちに⁇



盗撮ってこと⁇



まあ、違うよね。



< 70 / 296 >

この作品をシェア

pagetop