【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
頭の中はさらに混乱し始める。
藤永くんと席変わるってことは、私の隣の席になるってこと、だよね?
なんで?なんで隣に来るの!?
「矢野、お前の席はそこじゃなくてここ……」
「うるせぇ、黙ってろ」
先生の注意なんて聞こうともしない拓磨くん。
「席、変わってって言ってんの。わかる?」
「は、はいぃ……!」
藤永くんは慌てて立ち上がって、机の中の教科書や通学カバンを持って、本来の拓磨くんの席へと移動していった。
拓磨くんは藤永くんの席に満足そうに座る。
それを見てクラスメイトはみんな固まっている。
もちろん私も。
「ほら、はやく授業始めてよ。センセ?」
「あ、あぁ……じゃあ教科書86ページを開いて―――」
さすが不良くん。
先生まで怖がらせるなんて。
というか、なんでわざわざ私の隣にくるの!?
絶対目合わせたらダメだ。
私は必死に授業を受けているフリをしようと、教科書をガン見した。