【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「てか、美憂ちゃんって矢野星司と仲良かったんだね」
「仲良いっていうか、最近、星司くんがよく声かけてくれて……」
入学してからは全くって言っていいほど話さなかったのに、最近になってよく話すようになった。
なんでだろう?
「なんか矢野星司、危険なニオイがする」
多田くんが難しい表情で言った。
星司くんが危険……?
「そんなはずないよ~!星司くんはすっごくいい人だよ」
星司くんは誰にでも優しいし、カッコいいし、みんなの王子様だし、そんな人が危険だなんてそんなはずない。
「うーん、なんか矢野星司って名前、どこかで聞いたことがあるんだよなぁ」
「星司くんはこの学校では有名だからじゃない?」
「そうなのかなぁ」
多田くんはあんまりスッキリした様子ではなかった。
だって、それ以外星司くんの名前を聞くなんてことないでしょ?
私はあんまり気にはかけずにクリームパンを頬張った。