【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「あの……え、っと」
どんな反応をしていいのかわからず、口をもごもごさせる。
星司くんも私と同じように、あの日から……。
そんなの、思いもしなかった。
でも……私には拓磨くんがいる。
今は拓磨くんしか目に入らない。
「俺だったら美憂ちゃんに悲しい思いだってさせないよ」
「でも私には拓磨くんが……っ」
ガタッ―――
すると、近くで物音がした。
振り返ると、そこには拓磨くんがいた。
「た、拓磨くん……っ」
拓磨くんは、私を見るなり去っていく。
私は慌てて拓磨くんを追いかけた。
「待って!!!」
全力疾走で追いかけて、ようやく拓磨くんの制服の袖を掴んだ。
「触んなっ!」
けど、拓磨くんは声を荒げて私の手を振りはらった。