【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?





次の日の朝。


また今日も拓磨くんと手を繋いで、通学路を歩く。



「美憂、今日いつもよりテンション高いね」



繋いでいる手をブンブン振り回して歩く私に拓磨くんが微笑んだ。



「だって、多田くんと葵ちゃんがやっと結ばれたんだもん!嬉しいに決まってるじゃん!」



「あぁ、そういえば昨日、祐輝が電話してきて言ってたな……うるさいから切ったけど」



「あはは、多田くんらしいね」



テンション上がりながら拓磨くんに電話する多田くんが容易に想像できて、思わず笑ってしまう。
きっとずーっと叫ぶように喜んでたんだろうな……。



「今日も学校行ったらうるさいんだろうな……うざ」



イヤそうな顔をしてため息をつく。
でも、少し嬉しそうにも見えた。



「まぁまぁ、そんなこと言わずに、はやく学校に行こう!」



私は拓磨の手をグイグイ引っ張る。



「えー……めんどくさ」



そんなことを言いながらもちゃんとついてきてくれる拓磨くんは、やっぱり優しい。

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