【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?





ズルいよ、拓磨くんはいつも。
「好き」って言ってって頼んだのに。


結局いつも私がイジワルされてる。



「もう……っ」



「あ、赤くなった」



私が赤くなっちゃうのわかってて、そういうこと言うんだから……。
でも、笑顔になっちゃうんだ。



「あ、そーだ。今日、HR終わったら速攻帰るから今言っておくけど、絶対に寄り道したりせずに帰りなよ?わかった?」



「わかってるよ」



拓磨くんは心配しすぎだよ。
寄り道するところなんてないし、1人でどこか行っても楽しくないし、絶対寄り道しない。



「気を付けて帰るんだよ?」



「もう、拓磨くんってばお父さんみたい」



クスッと笑うと、拓磨くんは私にデコピンを食らわせた。



「い、いった~い……」



「お父さんじゃないし。彼氏だから」



「わかってるよぉ……」



だからってデコピンしなくてもいいのに……。
地味に痛い……うぅ。
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