【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?





「俺も祐輝に負けない、彼女バカかもしんない」



照れくさそうにフッと笑う拓磨くんにつられて私も笑顔になる。



彼女バカかぁ……。
それだったら私も、彼氏バカかもしれないなぁ。
拓磨くんのこと、大好きだもんっ。



「拓磨くん、好きって言って!」



「はぁ?なにいきなり……」



だって、好きって言ってほしくなったんだもん。


好きって言葉はたった2文字だけど、でも、それだけで幸せになれる。
不思議だなぁ……。



「好き、じゃないの?」



今日ぐらい、私が拓磨くんにイジワルしてもいいよね?
いつもの仕返し!



「好きなんて言葉がなくても、十分美憂には愛情表現してるつもりだけど?」



「それだけじゃ、足りないもん」



「ったく、美憂は欲張りだね」



フーッと息を吐くと、立ち上がって、私の耳に顔を近づけた。



「だ・い・す・き」



拓磨くんの甘くて低い声が耳から注がれ、顔がカアァと熱くなっていく。
< 306 / 350 >

この作品をシェア

pagetop