【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?





慌てて手紙を開いて中身を確認する。
そこには、拓磨くんの綺麗な字が並べられていた。



***



―――美憂へ。



いきなり、ごめん。
俺、手紙書いたことなんてほとんどないし、下手くそだけど、最後まで読んでほしい。



もしかしたらもう知ってるかもしれないけど、俺、引っ越すことになったんだ。
この学校にももう来ることはないんだ。



俺は美憂にウソをついた。



気づいてると思うけど、学校を休んでた理由は、体調不良なんかじゃなかった。
家でずっと一日中、考え事してた。


実は母親と会う少し前から、母親が俺と一緒に暮らしたいって言ってることを聞いた。
俺は一緒に暮らしたいって思った。


でも、母親は県外に住んでるから、一緒に住むってことはこの街とも、この学校とも、祐輝ともそして……美憂とも、お別れをするってことだった。


ずっと考えて俺は……母親を近くで支えることを選んだ。


そばにいられなかったこの十数年を埋めるために。



なにも話せなくてごめん。
ウソついてごめん。



そしてもう一つ、ウソをついた。



それは―――



***



手紙を最後まで読むと、私はもう一度、封筒にしまった。
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