【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?





私は思い切って立ち上がった。



「桐野?どうかしたか?」



担任が首を傾げる。



「あ、あの……お、お腹が痛いので保健室行ってもいいですか……?」



一生懸命、お腹をおさえて腹痛に苦しんでいる演技をした。



先生、騙されてください……!



「あぁ、そうか。行ってこい」



よっし、さっさと探して戻ってこよう!



「い、いってきます!!!」



勢いよく教室を飛び出して、私は通ってきたルートをすみずみまで確認する。



ない。



ない。



ないーっ!!!



下駄箱までやってきたけど、全く見つかる気配がしない。



どこにあるの……?
もうすでに誰かに拾われちゃったとか!?
いや、でも下駄箱から中庭の間の道に落ちてるかもしれない。



靴に履き替えて外に出る。
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