涙がこぼれる季節(とき)【完】
しかし、すぐ我に返り、



手、つないじゃったよ、どうしよう――。



オレは内心、焦りまくっていた。


次々に吹き出す汗は、当然、つないでいる手にも――。



結衣に嫌がられていたらどうしよう。


さり気なく手を放そうかと思ったら、


「……ねえ」


結衣がオレを見上げた。


「みんなに会っても……離さないでね」


結衣の機嫌はすっかり直ったらしく、そのはにかんだ笑顔は、オレをときめかせた。




結衣は、どれだけオレをドキドキさせるんだろう。




オレも結衣を、ドキドキさせたい――。




オレは結衣の手を、強く握りしめた。

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