涙がこぼれる季節(とき)【完】
<佐伯美桜>


今年も、野球部のメンバーと花火大会に来ていた。


花火を見たり、出店をのぞいたりしていると、結衣と吉崎が現れた。


驚いたことに、手をつないで。


「美桜ちゃん、真紀ちゃん」


結衣たちは私たちの輪に加わったが、つないだ手は、そのまま。


結衣を好きだった連中は、ラブラブな2人を目の当たりにしてわかりやすく遠ざかって行った。


残ったメンバーは、悠斗を筆頭に全力で2人を冷やかしたが、それでも2人の手が離れることはなかった。


吉崎の顔は真っ赤で、とっくに「限界」を超えているようだったが、結衣のために無理をしているのだろう。

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