涙がこぼれる季節(とき)【完】
<松山悠斗>


月曜日は7時間授業で、野球部だけでなくすべての部活動が停止となっていた。


そこで、野球部の1年生で、迫りくる春季大会の応援練習をすることにした。


3年生はいないが、ある程度は覚えたし、結衣と美桜――年季の入ったこの2人がいれば問題ない。



ところで、野球部員の中には、カノジョがいるセンパイも同級生もいたが、相手は部外者。


部内恋愛禁止というわけではなかったが、マネージャーを恋愛対象として見るのは言語道断――という雰囲気があった。


だから、男だけで誰が好きだのカワイイだのという話をしても、マネージャーの名前が出てくることは一切なかった。


だが、俺は気づいていた。


楽しそうに応援練習をしている結衣の笑顔に――いつも一生懸命な結衣の姿に。


心を奪われているヤツがすでに何人もいることに。

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