涙がこぼれる季節(とき)【完】
オレは嬉しすぎて舞い上がり、


「オレ、ずっと羨ましいなって思ってたことがあるんだ」


もっともっと、水沢と仲良くなりたいと思ってしまった。


「な、に?」

「悠斗が、名前で呼んでること」

「え?」

「オレも、名前で呼びたい」

「いいよ」

「……いいの?」

「その代わり、みんなの前でも呼んで」



……みんなの前で?


めっちゃテレるんですけどっ。


いや、2人だけでも、テレるけどっ。



「呼ばせてください」

「どうぞ」

「……え? ……今?」

「うん。い、ま」


小悪魔のように微笑む水沢に向かって、




「……ゆ、結衣」




大好きな女の子の名前を、初めて口に出して言ってみた。

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