marine snow
ずっと、ずっと、伝えたかった。
あたしを救ってくれた人に。
あなたに……
「あたしに、光をくれて、ありがとうっ……」
そして願わくは、これからもあたしという存在に、あなたというマリンスノーが降り積もってほしい。
あたしのそばに、いてほしい。
あたしの心を、照らしてほしい。
「あなたが、好き……っ」
一緒にいた時間なんて人生全てからしてみると刹那的で、あなたのこと何一つ知らないけど、それでも、知ってるものもある。
あなたがあたしに与えてくれた優しさで、あたしはあなたに恋をしました。
「オレも、あのときから、キミのことが好きだった……」
優しい光を灯した、青みがかった澄んだ茶色の瞳が、あたしを映している。
そっと触れた唇は、冷たくて、でも優しさで溢れていた。
二人のいた公園は十年前とまるで同じで、暗闇の中、ふわふわと外灯で照らされた雪が舞っていた。
まるで、深い海に降り注ぐ、マリンスノーのように……
Fin.