Le Petit PrincesseII
そのころエリックは、隣の部屋でブライアンと一緒だった。



「でも何で今日、この国に来たの?」


「いつものあの子がいなかったんだ…」


「え?」


「毎日、赤い髪の美しい女の子が岩の上で歌ってるんだ。美しい赤いヒレに赤紫の瞳…。」


ブライアンはうっとりしながら話していた。



「ねぇ、それって人魚の事だよね?」


「あぁ。あれから僕は毎日あそこにいたよ。だが今日は見かけなかったんだ。」


「それでここに来たの?」


「それはそうさ!」


「もしその人魚が人間になってたらどうする?」


「それはもう、僕の国に招待するね!
今まで陸を歩けなかったからだめだったけど、人間になったなら結婚だってできるだろう?」


「その子が声を失くして話せなくても?」


「声を失くす?」


「うん、実は人間になるのと引き換えに…」



言いかけたところでエリックは口が開かなくなってしまった。



「あれ?何でだろう?いや、悪い魔女が…」



また口が開けないようだ。



「契約を…」



魔女との契約の事や掟の事を話そうとすると口が開かないのだ。




「どうしたんだ?何か変じゃないか?」


「言いたいんだけど言えないみたいで…」



どうやらその契約の事を相手に話せないようになっているらしい。
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