Le Petit PrincesseII
ブライアンはある部屋の前で足を止めた。


その部屋だけは他の部屋よりもドアが豪華で、明らかに地位の高い者の部屋である事を物語っている。


「ここがお父様の部屋なんだ。」


ブライアンはそう言うと、一呼吸置いてドアをノックした。


「どうぞお入り。」


意外にも、中かからは優しく柔らかい返事が聞こえた。


「失礼します。」


ブライアンがそう言って部屋に入ると、三人もそれに続いた。



「おや、ブライアン。お友達かね?」


ブライアンの父親は三人を見ると、グレーの瞳を優しく細めながら言った。



「はい。この三人を今日城に泊めようと思っております。」


「ステファニー・ローズです。」


「エリック・デュマです。」


二人が自己紹介をしている中、ヴァレンティーヌが声を出せずに困っていると、ブライアンが代わりに言った。


「お父様、彼女は魔法で声が出ないんです。彼女の名前はヴァレンティーヌ・ドルチェです。」


「…ヴァレンティーヌ・ドルチェ…魔法で声が出せない…まさか…」


ダレンは一瞬表情が険しくなったが、またさっきまでの柔らかい表情に戻っていた。



「ブライアン、三人は客間に案内してやりなさい。空き部屋ならたくさんあるからね。」


「はい。」


「あ、ありがとうございます。」

「ありがとうございます。」


声が出せないヴァレンティーヌは、二人に続いて深く頭を下げた。


そうして四人はダレンの部屋を後にした。
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