涙色に染まる鳥居の下で
奈津美
 神社で告白後の帰り道。
 手を繋いで駅までの道を歩いていると、お兄ちゃんが急に言ってきた。
「なぁ、奈津美。これからは俺のこと名前で呼べよ」
「え~。ちょっと恥ずかしいけど……」
「お兄ちゃん、ってのは、明らかにおかしいだろ。もう付き合うんだし」
「う、うん、それはまぁ……」
 たしかに、それは正論かも。
 恥ずかしいけど、仕方ない……。
 それに……。
 名前で呼ぶほうが、いかにも恋人っぽいし、私としても嬉しくない訳ではない。
「じゃあ……。ごほん」
 私は一つ咳払いをしてから、恥ずかしさを押し殺して言った。
「圭哉君」
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