『好き』と鳴くから首輪をちょうだい
「ほら、出来たから座りな」
「あ、はい! 」
とりあえず、クロくんから押し付けられた丸椅子に座り、少し高めに作られたキッチン台の上の食事に向き合う。
ああ、すごく美味しそう。
朝からこんな素敵に整った食事を摂るのは久しぶりだ。
普段はトーストとヨーグルトくらいしか用意しなかったからなあ。
「すまんね、ここで食わせて」
「いえ、全然気にしないでください。では、有難く頂きます」
出された食事は、どれもすごく美味しい。
お味噌汁なんて、私が作るものと同列にしてはいけない気がする。
さすが、プロの作るものは違う。
「そうだ。あの、リヤカーなんですが、仕事帰りに取りに来てもいいですか?」
「ああ、いいよ。そのまま置いておく」
「すみません。ご迷惑をおかけします」
それからこの店の場所を訊き(彷徨っていたらここについたと言ったら、眞人さんは可笑しそうにくすくす笑っていた)、一駅分ほどの距離を昨晩の自分が歩いていたことを知った。
しかし、タクシーを使わなくても充分職場に間に合いそうだったのでほっとする。
「じゃあ、ごちそう様でした。あの、行ってきます」
「はいよ、行ってらっしゃい」
自宅側の門から出て行く私を、眞人さんは玄関先で見送ってくれた。
それに会釈を返したあと、視線を感じて顔をあげる。
二階の窓際にクロくんが立っていて、私と目が合うなり口パクで「ブス!」と言っていた。
「飼い、犬……」
食事のせいで頭の隅に追いやってしまっていた言葉を思い出し、しばし思案してしまう。
ふたりにはそういう趣味があるのだろうか。
同性同士の恋愛というものに、抵抗感はない。
世界にはたくさんの人間がいるのだから、様々な恋愛関係があって当然だ。
だけど、飼い犬と飼い主、といった関係があるということまではちょっと考えたことがなかった。
ふうむ、色んな関係があるんだなあ。
私は彼にも頭を下げて、仕事に向かったのだった。
「あ、はい! 」
とりあえず、クロくんから押し付けられた丸椅子に座り、少し高めに作られたキッチン台の上の食事に向き合う。
ああ、すごく美味しそう。
朝からこんな素敵に整った食事を摂るのは久しぶりだ。
普段はトーストとヨーグルトくらいしか用意しなかったからなあ。
「すまんね、ここで食わせて」
「いえ、全然気にしないでください。では、有難く頂きます」
出された食事は、どれもすごく美味しい。
お味噌汁なんて、私が作るものと同列にしてはいけない気がする。
さすが、プロの作るものは違う。
「そうだ。あの、リヤカーなんですが、仕事帰りに取りに来てもいいですか?」
「ああ、いいよ。そのまま置いておく」
「すみません。ご迷惑をおかけします」
それからこの店の場所を訊き(彷徨っていたらここについたと言ったら、眞人さんは可笑しそうにくすくす笑っていた)、一駅分ほどの距離を昨晩の自分が歩いていたことを知った。
しかし、タクシーを使わなくても充分職場に間に合いそうだったのでほっとする。
「じゃあ、ごちそう様でした。あの、行ってきます」
「はいよ、行ってらっしゃい」
自宅側の門から出て行く私を、眞人さんは玄関先で見送ってくれた。
それに会釈を返したあと、視線を感じて顔をあげる。
二階の窓際にクロくんが立っていて、私と目が合うなり口パクで「ブス!」と言っていた。
「飼い、犬……」
食事のせいで頭の隅に追いやってしまっていた言葉を思い出し、しばし思案してしまう。
ふたりにはそういう趣味があるのだろうか。
同性同士の恋愛というものに、抵抗感はない。
世界にはたくさんの人間がいるのだから、様々な恋愛関係があって当然だ。
だけど、飼い犬と飼い主、といった関係があるということまではちょっと考えたことがなかった。
ふうむ、色んな関係があるんだなあ。
私は彼にも頭を下げて、仕事に向かったのだった。