俺様姫とヘタレ王子の恋愛事情
小野先生=ヘタレ
その日から私の中で決まった。
かと言って別にヘタレの授業がある訳でもなく、絡むことはなかった。
楓はあの後、暫く笑っていたが「半べその先生、可愛いんだよ?」とか言って何かと理由を付けてはヘタレの所に行っていた。
勿論、無理やり私を連れて。
「いとも小野先生と話してみたら?」
『嫌、無理、イライラする。』
私はついて行っても腕を組んで数学準備室の扉に寄りかかり楓の話が終わるのを待っていた。
待ってる間はずっと廊下の窓から外を見ていた。
たまにボソボソ喋るヘタレにイラッとして見るとヘタレと目が合う時があるが、かなりビクビクしていた。
ちょっとそれが面白かったりもする。
『それにしてもみんな、ヘタレ教師のどこがいいのかねぇ?』
楓と下校途中にクレープを買って食べながら話していた。
「先生と話したらって、いとは嫌か!」
『嫌。』
楓は少し黙って何かを思いついたこのように手を叩き
「話すのが嫌なら観察してみたら?」
『観察?』
「そう、観察!一週間、小野先生観察してみてよ!そしたらわかるからさ!」
自信があるのか、楓がいつもよりグイグイと来るもんだから
『わ、わかったよ。』
こうして私はヘタレを観察する事になった。