Love Flower~舞~
家に帰るとあの人はいなかった。
「はあ~…疲れた。」
新しく引っ越してきた我が家。
「暇だな…」
荷解きはすでに終わっていた。
悲しいことに、昔から何度も引っ越ししてるせいか、この手のことには慣れてしまっていた。
荷物だって必要最低限。
幼い時に急に荷物も捨てて引っ越す、と言われたことがあり、大切なモノはあまり多くしないで、なるべく身につけたりするようにしてきた。
いつでも何処にでも行けるように。
だけど、そんな何かに追われるような生活をしなきゃいけない、理由がわからない。
ただ単にあの人が憎い。
だけど、また今日もあの人が作ったご飯を食べてる…
「なにこれ…まず…」
私は食べかけのご飯をそのままシンクに捨てて、自分の部屋へと篭った。
その日の夜は、珍しくあの人が帰ってくることはなかった。