Love Flower~舞~
「ただいまー」
「おかえり。」
それだけを言って私は、そそくさと部屋に入った。
ここ最近では、あの人が帰ってくると自分の部屋に篭るようになった。
人の顔色を伺って過ごさなきゃいけなくなった原因を作ったのはあの人だ。
それでも、あの人の理不尽な引越しに何も言えずに今で過ごしてきた。
だけど、洋介君に会って自分を隠さないで過ごすようになってから、少しずつだが変わってきた。
帰りはあの人よりも遅く帰るときもあるし、作ったご飯だって食べない。
私なりのささやかな反抗のつもりだった。
「あーあ…なんで、私はこんな事してるんだろう。いつまでこんな生き方しなきゃいけないのかな…」
働いて家を出るにも未成年という年齢が、私に何もできなくする。
それに、引越しばかりの私にとっては勉強になれるのに相当苦労をする。
その地域によって勉強の仕方も、進度も教科書でさえも違う。
その時によって、違う小テストのやり方や、課題の仕方に私はついていくのが必死だった。
高校生になってからは、自分のレベルにあったところへ編入というかたちをとるため、昔よりも楽にはなった。
だが、義務教育の時に受けた勉強へのコンプレックスは取り返すのが、なかなか難しい。
まだ習ってないところがあったと思えば、前に戻り、また習っていないところがあったり…
今でも、わからないところがあったりもする。