On Your Mark
女の子は恐る恐るながらも、僕たちの上に手を置いた。



冷たい。



冷たいけど、どこか温かい。



僕たちとは違ったものが、この手の温もりなのだろうかと一瞬考えてしまった。


「絶対に連れて行くよ」


「ああ」


「うん」


「ツバサ、掛け声よろしく」


女の子が羽根を大きく伸ばして飛んでいる姿が目の前に浮かぶ・・・

そんなことを今はまだ想像すらできない。

だけど、必ず僕たちが連れていくんだ


「いくぞぉっ」


「っしゃぁ」


僕たちは一瞬手を僅かに低くし、そして勢いよく拳を作り高らかに上げた。



女の子は呆気に取られていたが、遅れて僕たちと同じ仕草をやってのけた。



その表情は満面の笑みで、僕たちはこの笑顔を守るために動き出した。
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