On Your Mark
頼るべきもの
僕たちの予想に反して、ペスチニア王国とユーシチール国の国境は互いに警備はおらず、覚悟していた銃撃戦も交わすことなく容易にユーシチール国領域へと入ることができた。

逆にそれが不気味にも感じたが、頭の中には何も入ってこず、それに戦略性を感じることはなさそうだ。


「今や国境云々じゃなく、いかに相手の兵士を多く殺すかが重要になってきてしまっているんだね」


イビルは寂しそうに下を向き、眼前に広がる景色を眺めている。



最早、この戦争は目的を失っている。



少なくとも兵士や、軍ではそうなっていると言っても過言でない。

国境に特別な警備がされていないのが僕たちにとっては都合が良くとも、二国にとっては深刻な問題だった。


「お偉いさんの考えることは分からねえよ」


運転しながらレイは言い切り、その運転が少々荒さを増した。
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