On Your Mark
絶望の淵
「イビル、お前なら分かっていると思うけど」


「ああ。

間違いないなく、ペスチニアはこの航空機を狙ってくる。

はっきり言って、いい的だと思うよ」


「大丈夫なのか」


「この距離なら・・・逃げ切れる」


イビルはそう言い切っている。



しかし、それは今の世界とは別の世界があって、このまま北へと進めばそこに通じる道のようなものがある、という前提で話しているもの。

実際、本当にそんなものがあるかどうか分からない。

もし、無かったら僕たちは、あっという間に袋叩きだ。



けど


「信じるよ」


僕はイビルを信じる。



そして



レイもイビルを信じている。



僕たちは口には出さずとも、信じ合っている。

そのなかには、もちろんソラもいる。



僕たちは一斉にソラを見た。


「絶対に連れていってやるぜ」


「僕たちを信じて」


「・・・」


僕は言葉が出てこなかった。

思い切りソラの手を握り、ただ頷いただけだった。

それでも想いは通じたようで、屈託のない笑顔が僕たちを勇気づけてくれた。
< 40 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop