助けてくれたひとは………

しばらく廊下に座り込んで泣いていると

ガチャッ
玄関の開く音がして反射的に前を見ると
京也がいた

「ッッ…どうした!実李」

京也は私を見るなり慌てた様子で
私にかけよって聞いてきた

「…ヒクッ…きょ…う…やヒクッ…が
起きた時に…い…いなかっ…たから不安で……怖くて…ヒクッ」

途切れ途切れそういうと

「ごめんな
急な仕事が朝早く入ったから少し出掛けてたんだ」

「予定だったら
もう少し早めに帰れるつもりだったが
思ったより時間が掛かってな」


そう言って私を抱きしめてくれた

それだけでだんだん落ち着いてきて
安心した

「ごめんなさい京也……」

「なぜ謝る」

「だって京也が少し居なくなっただけなのにパニックになるから
………それに」

“京也に嫌われたくない”そう言おうと思ったけど、京也の口から「嫌い」なんて言葉を聞くのが怖くて黙っていたら


「フッこんなことか
俺は、お前のことが好きなんだ
好きな相手が俺がいなくてパニックになったからって…嫌いになんてならない
むしろ嬉しいと思う」

まるで私の心を見透かしたように
言ってくれたみたいだ

「嫌いにならない」って言われたとき
………嬉しかった






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