心の裏側と素肌の境界線を越える為に
美佳は、ちらっとメンバーを見た。

一目で、実力ではなく…見た目で選んだことがわかる。


初老の男もスタジオ内に入ってくると、プロデューサーに耳打ちした。

「金髪の時は、少し悩んだが…今は、いいじゃないか。なかなかの素材だ」

満足げに頷く初老の男。

「さあ!一度、合わせてくれたまえ」

プロデューサーの声に、美佳は無言で、ドラムセットの中に戻った。

(曲は何だ?)

と心の中で思いながら、他のメンバーがセットするのを見つめていた。


(まあ…いいか)

準備が終わったのを確認すると、美佳は叩き始めた。
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