心の裏側と素肌の境界線を越える為に
俺は、総司の拳を握りしめ、総司に顔を近づけた。

「総司!今の俺を見ろ!」

俺の言葉に、総司は顔を上げた。

目が合う二人。


俺は総司の目を見つめ、

「俺の中にあった…もう闇はないよ」




「あ…」

総司も気付いたみたいだ。

俺は言葉を続けた。

「俺の闇を払ってくれたのは、片桐だ!今度は、俺が…片桐の闇を払ってやりたい」


大きく見開いた総司の目から、溜まっていた涙が一気に流れた。


「わかってくれ」

俺は頼むように、総司に頭を下げた。


「…」

総司は俯くと、しばらく無言になった。

だけど、丸まった背中が小刻みに震えていることに…俺は気づいていた。
< 179 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop