一週間、魔法使いになります。
それって、おかしくない?
……いや、一つあり得るケースがある。けど……。
女王さまは少し悲しげな、陰った表情を見せながらあたしのママの過去について語り始める。
「私と姉様は血が繋がっていないの。母様や父様は教えてくれなかったけれど……噂で姉様は拾い子だということを知ったわ」
ママが、捨て子……。
自分の母が捨て子ということを聞き、あたしは少なからずショックを受けた。
でも、なるほど、そういうことか。それから辻褄が合う。
ってことは、ママって……魔法使い?
女王さまは長い睫毛(マツゲ)を伏せた。
「ただ、ある日姉様が自分はこの家系のものではないから、と人間界に出て行ってしまって……。それきり、姉様がこの城に帰ってくることはなかったのよ」
それで、パパと出会って結婚して、あたしが生まれたんだね。
そうだったんだ……。でも、出来ればママの口から聞きたかったな。
ってことは女王さまはあたしの、叔母さん?
なんだか遠い存在だった目の前の美しい女の人が、いきなり身近な存在に感じられる。
感慨に浸っていると、すっかり忘れていた、ここへ連れて来られた理由を女王さまが切り出した。