一週間、魔法使いになります。



 それって、おかしくない?

 ……いや、一つあり得るケースがある。けど……。



 女王さまは少し悲しげな、陰った表情を見せながらあたしのママの過去について語り始める。



「私と姉様は血が繋がっていないの。母様や父様は教えてくれなかったけれど……噂で姉様は拾い子だということを知ったわ」


 ママが、捨て子……。


 自分の母が捨て子ということを聞き、あたしは少なからずショックを受けた。


 でも、なるほど、そういうことか。それから辻褄が合う。


 ってことは、ママって……魔法使い?




 女王さまは長い睫毛(マツゲ)を伏せた。


「ただ、ある日姉様が自分はこの家系のものではないから、と人間界に出て行ってしまって……。それきり、姉様がこの城に帰ってくることはなかったのよ」



 それで、パパと出会って結婚して、あたしが生まれたんだね。


 そうだったんだ……。でも、出来ればママの口から聞きたかったな。



 ってことは女王さまはあたしの、叔母さん?

 なんだか遠い存在だった目の前の美しい女の人が、いきなり身近な存在に感じられる。



 感慨に浸っていると、すっかり忘れていた、ここへ連れて来られた理由を女王さまが切り出した。

< 25 / 47 >

この作品をシェア

pagetop