一週間、魔法使いになります。



 ミミさんも入れるようにと、ドアが閉まらないように手で押さえる。

 それをミミさんが受け継ぐと、ゆっくり静かにドアは勝手に閉まっていった。



 その音を聞きながら。

 あたしは目の前で仁王立ちするあたしのママと目線を合わせた。


 唾が溜まっていくのが舌で感じられる。その溜まった唾をゴクリと飲む音が、やけに大きく聞こえたのはなんでだろう。




 怒っているときに少し低くなる、ママの声が静寂を打ち破る。



「……柚」



 名前だけしか言わないところが、より怖さを倍増させてる気がする。


 でもあたしも馬鹿じゃない。
 
 怖さなんて押し込めて、とにかく謝らなくては!



「……っごめんなさい! 遅くまで出かけててごめんなさい! で、でもこれには事情があって……」




 ……あれ?



 あたしは違和感を感じて、下げていた頭をゆっくり上げた。

 
 いつもなら機関銃のように飛び出してくるママのお説教が、来ない。


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