婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「匠はいつも自分がシッカリしていなきゃいけないと強く思う反面、それがプレッシャーになって、色々歪んでしまっているところもあるんじゃないか、と最近は思う事があるんだ」

葛城父は言葉を選びながら慎重に話しているが、恐らく全てを知っている。

長男が家で見せる顔と外で見せる顔が全く違うってことも、私が暴露するまでもなくお見通しなのだろう。

私は、何て返したらいいのか解らず「そうなんですか…」と適当な相槌を打った。

「何かと苦労を掛けるかもしらないが、どうか匠を見限らずに支えてやってほしい」

葛城父は真摯な眼差しで私を見つめる。

「いやあ、ちょっと扱いが難しそうで無理っす」なんて気楽に断れる空気では決してなくって、私は神妙な面持ちで「はい」と言ってこっくり頷いた。

果たして葛城のような男を私が支える事が出来るのだろうか、と不安が胸を過る。

やっぱり生涯賃金3億円を稼ぐのは大変らしい
< 89 / 288 >

この作品をシェア

pagetop