歪な愛のカタチ
「まぁ、お前のトコは付き合いなげぇからな」
「そうっすね…さすがに仁さんのテンションは保ってらんねぇかも」

耕太はそう言って自嘲ぎみに笑った。


何回かお互いの彼女も交えて飲みに行った事があるんだけど、どうやら耕太は高二の時からその子と付き合ってるらしい。
入社三年目、杏奈が言うには秘書課でも大人気らしい耕太は、見た目の派手さとは裏腹に、意外にも一途な男で。

ま、俺と一緒なんだけどさ。



「八年半だろ?それって、すげぇよな」
「まぁ…そうっすよね」
「うちはまだ四年だからな…ま、俺は五年後も十年後もめちゃめちゃ杏奈を愛してると思うけどな!」

新しい煙草に火を点けながらマジで言えば、耕太はハイハイ、と笑いながら受け流した。


「つーかさ、俺ら、なんの話してたんだっけ?」
「あ、そうだ。標語っすよ、標語」
「あぁ、そうそう…今日中に出さなきゃヤバイ、つってんのにな…」
「俺らアホっすね」
「ほんとだよ……で?お前はなんかないの?」
「んー、マジで全然思い付かねぇんだよなぁ…」

漸く話を軌道修正したものの、お互い前屈みになって額突き合わせる状態で、咥え煙草のまま思案顔になった。


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