暗黒マスク伝説『ワンピースとダースベーダーと私』
 ご機嫌で支度を済ませた加奈が、チラリと時計に目を向ける。



「さてと。

 そろそろ行かないと、待ち合わせに遅れちゃうね」



 携帯や財布をバッグに詰め込み、玄関に向かった。






 ワンピースと同色のパンプスに足を通す。


「ええと、電気は消したし、ガスは止めたし。

 忘れ物はないよね?」



 ドアノブに手をかけた。



 が、扉を押し開ける手が止まる。



「・・・あ、いけない!

 大事な物を忘れてた」
 


 必ず何かしら忘れるのが、彼女の常だ。


 さすが、『ミス・おっちょこちょい』。




 だが。


 大事な物なら、忘れないでほしいものである。
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