魔王の娘が勇者になりたいって変ですか？

――パンドラ艦・ブリッジ

「かみさまに万桜、バルド……
　揃ったようだな」

　ガウルが、そう言って静かにうなずく。

「焔くんとシエラちゃんは？」

　万桜が、尋ねるとガウルが優しく笑う。

「心配するな。
　ふたりとも命には別状はない。
　ただ安静にした方がいいとドクターが、判断したからな。
　今は休んでもらっている」

「そうですか……」

「ふたりともフェアリーの損傷が激しいからな……
　フェアリーの修理には2～3日かかるだろうしふたりにはこの際だから休暇という形で休みを与えることにする。
　まぁ、焔に関しては問題ないが、シエラに関しては精神的ダメージが大きい。
　今、カウンセラーが心のケアをしている」

「まぁ、模擬戦は何度か経験しているが敵と戦ったのははじめてだからな無理もないだろう」

　かみさまが、そう言ってうなずく。

「で、あの光に関しての情報はなにか入ったか？」

「ああ。
　あの光の名前は、カリュドーンの猪。
　暴れまわる光は、人々を殲滅する広範囲型MAP兵器だ」

　ガウルが、そう言うとバルドが尋ねる。

「それは、どこからの情報だ？」

「テオスだ」

　ガウルの声が低くなる。

「テオスだと？」

　バルドが驚いた声を出しガウルの方を見る。

「ああ。テオスは今、大きく分けて4つに分裂したらしい」

「よっつだと？」

「まずは、人類の最大の敵であるテオス。
　そして、人類の味方であるアンゲロス。
　その中間的立場であるルシファー。
　そして、誰にも従わず自由に行動するモノたちフリーランス」

「かみさまは、どれに所属しているの？」

　万桜は、そう言ってかみさまの方を見た。

「余は、フリーランスだな」

　かみさまが、楽しそうにうなずく。

「今回の情報は、アンゲロスから寄せられた情報だ。
　カリュドーンの猪の件で、アンゲロスが大きくテオスに反発してな人類に情報をリークしてくれたという訳だ」

「では、アンゲロスは正式に人類に味方してくれるのか？」

　バルドが、ガウルに尋ねると小さくうなずく。

「ああ、来週正式にパンドラ艦は、アンゲロスと合流する」

「そうか……
　敵の敵は味方ってことになってくれればいいのだが……」

　バルドは、そう言って顎に手を当てた。