魔王の娘が勇者になりたいって変ですか?
 シンフォニアは、無言で剣を抜きその剣閃を斬った。

「この程度の剣閃なんて!」

 シンフォニアが、そう言うと音那のフェアリーが背後から光の矢を放つ。

「次は、私です」

 するとベルゼブブは闇のマントでそれを包み込む。

「その程度の光で――」

 ベルゼブブが、そこまで言いかけたとき背後に回るひとつの影があった。
 それは、新一のスター・ゲイザー。
 スター・ゲイザーは、光の剣でベルゼブブの体を斬りつける。
 ベルゼブブの鎧にダメージを与える。

「僕のこと忘れてたでしょ?」

 新一が、そう言って笑うと老人が杖を振り下ろす。
 すると老人の周りに無数の魔法陣が現れる。
 その魔法陣から炎の矢が現れ新一を襲う。
 新一は、その矢を紙一重でかわす。

「ぬ、流石は星新一。
 ワシの矢をかわすか」

 老人はそう言って笑う。
 老人の名前はフィサフィー。
 噴煙のフィサフィー。
 その場にいるモノの誰よりも魔力が高い存在。

「流石に貴方の矢に当たるわけにはいかないからね」

 新一は、そう言って剣を構えたままフィサフィーとの間合いを取る。
 音那も無数の矢を宙に浮かせいつでも放てる準備をする。
 シンフォニアも弓を構える。

「流星の星新一、盲目の弓使い、夢幻のシンフォニア。
 3人の英雄を称えここは撤退しようではないか」

 フィサフィーが、そう言うと紫色の煙が辺りを放った。
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