初恋 二度目の恋…最後の恋
 料理を仕きって満足したのか、新しいビールを飲む折戸さんを見て、急に私は思い出した。乗ってきた車はどうするんだろう。


「車大丈夫ですか?」

「うん。代行で帰るつもり。美羽ちゃんも蒼空もきちんと送るから大丈夫だよ」



 送って貰わなくても大丈夫だと思ったけど、そんなことを言っても折戸さんは絶対に譲らないだろう。だから甘えることにした。その方がいいと思ったのは私が少しだけ折戸さんという人を理解したからだと思う。


「よろしくお願いします」

「ああ」


 リビングのテーブルに並ぶのはどこかのお洒落なレストランで出されそうな前菜の数々。彩りも綺麗だし、繊細な包丁さばきで作られたものはどれもこれも美味しそう。サプライズ訪問で来たにも関わらず、高見主任はこの時間を楽しんでいるように見えた。でも、サプライズ訪問の欠陥が現れたのはそれからしばらくしてから。


 冷蔵庫のビールは一本残らず飲み干してしまったのだった。


「もう冷蔵庫の中のビールは飲み終わりましたよ。」


 そう言ったのは小林さんで少しの酔いの中、残念そうな顔をする。この楽しい時間が少しでも続いてほしいと思うからなのかもしれない。それは私も一緒で、最初は緊張してい炊けど、今は高見主任や折戸さんの話を聞きながらのお酒はとても楽しい。


 お酒ではないけど、お茶でも十分に楽しい。


 一ヶ月前に歓迎会をしてもらった時は緊張のしすぎだったけど、今日は少しの緊張はあるものの前よりも楽しめている。


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