初恋 二度目の恋…最後の恋
 それに気付かないふりをして、私はコンビニの中に入ると、一番最初に向かったのはビールの入っているショーケース。こういう時は何本くらい買った方がいいのだろう?それにおつまみもいるのかしら?あまりこういう自宅での飲み会をしたことがないので、何をどう買っていいのか分からない。


 高見主任も折戸さんもお酒には強い。
 だから、買うのは私の必要だとしている本数の二倍くらいかしら?


 お酒の入っているショーケースの前で何本買うべきか迷っている私の耳に届いたのは小林さんの声。振り向くとコンビニデザートが並んでいる棚の前にいて、とっても嬉しそう。


「新作のスイーツがあるよ。買っていこうか?」


「でも。頼まれたのはお酒だけですし」


「いいよ。だって美羽ちゃんはもうそんなに飲めないよね。だったら甘い物の方が女の子としては嬉しいでしょ」


 確かに嬉しいけど、でも、スイーツを食べたいのは小林さんの方ではないかと思うくらいに目がキラキラしている。どうしようかと思っていると…。


「甘いものは別腹だよ」


 念押しされた。そこまで言われると断る理由もないし、それに、実際に新作スイーツには興味もある。小林さんの別腹ってどれくらいたくさん入るのだろう?そんなことを思いながら、新作スイーツをカゴに入れると小林さんはニッコリ笑ったのだった。


 そして、さっきまで見ていたお酒の入っているショーケースを開けると、ドンドンお酒を入れていく。小林さんの持っているカゴはもう私の力では持てないだろう。

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