初恋 二度目の恋…最後の恋
 でも、マンションの部屋に入って思ったことは『お酒の力って凄い』ってこと。


 私はお酒の力を舐めていた。

 
 高見主任のマンションのリビングに行くと、高見主任と折戸さんでさっきまで飲んでいたワインも空いていて、高見主任の手には透明の液体の入ったグラスが傾けられている。グラスを見つめる潤んだ瞳の輝きに身体が硬直してしまう。怖いくらいに引力を感じる。


 ふと向けられた視線から何かのビームが出ているのかと思うくらいに身体が動かない。


「坂上さん。おいで」


 ぞくっと背中が粟立つような感覚に襲われる。魅惑的な声が私を誘って身体が言葉に吸い寄せられそうになるのを感じた。右足と右手が同時に出てしまい、高見主任の方に引き寄せられる。


 折戸さんは飲んでいるものの、全くの素面に見せる。そして、コンビニから帰ってきた小林さんと私に優しい微笑みを向ける。


「美羽ちゃんは俺の横においで。蒼空は高見主任の前に」


 折戸さんの言葉に高見主任がチラッと私の方を見る。殺人的キラキラ光線が眩しい。私が折戸さんの横に座ると折戸さんはいつものように穏やかに微笑む。


「買い出しありがとう。何もなかった?」


「はい。大丈夫です。結構たくさん買ってきましたけど大丈夫ですか?後、デザートも買ってしまいました」


「うん。大丈夫。デザートは買って正解だよ。だって、この後も長くなりそうだし。でも、帰りたくなったらいつでも送るから言ってね。じゃあ。飲もうか」



 それからの飲み会は凄いものだった。


< 133 / 303 >

この作品をシェア

pagetop