初恋 二度目の恋…最後の恋
「美羽ちゃんの感想ってマジでウケる」

「私は女ですけど、あんなに魅力に溢れてませんから」


 髪はストレートで流したまま。化粧は身嗜み程度。服は地味で、身体はとりあえず女と分かる程度の寂しいもの。元男であろうが、あの美しさは羨ましいと思ってしまった。



「魅力ねぇ。美羽ちゃんにも魅力はあるよ。多分、美羽ちゃんが気付いてないだけ」


 小林さんはニッコリと笑い、何事もなかったように、手に持つ袋をブラブラしながら歩いていく。重たいはずの袋は軽々と持たれている。そして、小林さんはフッと息を吐くと小さな声を零したのだった。


「そのままでじゅうぶん。可愛い」


 小林さんの言葉はドキドキを通り越して心臓が痛くなってくる。男の人に免疫のない私は息が止まりそう。顔は真っ赤になっていると思うし、それに耳まで熱い。何といっていいか分からない私が口に出来たのは…。


「ありがとうございます」


 これ以外の言葉は何も出なかった。もう少し上手に切り返しが出来ればいいのだけど、そんなのは私には無理。だから、謙遜も何も出来なかった。小林さんは酔っているから優しい言葉をくれただけと思う。だけど、可愛いという言葉はやはり嬉しかった。

「そういえばさ…」



 歩きながら小林さんの話を聞く。


 さっきの言葉がなんだったのかと思うくらいに、小林さんとの会話はあまりにもいつもどおりで次第に私の心が落ち着いていくのを感じた。高見主任のマンションに戻る頃には顔の赤みも落ち着いていたと思う。

< 132 / 303 >

この作品をシェア

pagetop